ぐいっと強い力で腕を引っぱられて。
私の体はぽすん、と大きな体に抱きとめられた。
「触んな」
耳に届いたのは低く、冷たい…怒りを含んだ声。
──詩優の声だ。
私の腕に触れるこの手は、私が知っている人の手。
温かくて大きな……優しい人の手。
ゆっくり目を開けると、詩優の顔がちらりと見えて。すぐに私を隠すように背中に誘導された。
その時、一瞬目が合ったのは詩優の二歩後ろにいた竜二さんと倫也。
「この子、俺の大事な子だから」
いつもより低い声。
詩優を見上げれば、目の前にいる男たちを睨んでいた。
睨まれた男たちは顔色を悪くして、何も言わずにただ息を呑む。
「傷つけたらどうなるか、わからせてやろうか」
ぱっと私の腕を掴んでいた詩優の手が離れて、詩優は金髪男に近づく。
一歩ずつ近づいていく詩優を見て、ただガクガクと震える男たち。よほど詩優が怖いのだろうか……。



