「……なんで、それ…持ってるの…」
机の横のフックにかけておいたもの。
なんでこの人たちか持っているのだろう。
「俺に渡すように、妃芽乃ちゃんが咲(さき)に頼んだんだろ?」
不思議そうな表情をする金髪男。
「…そんなこと頼んでないっ……」
だいたい咲って誰なんだろう…。
知っていたとしても私はそんなことを頼んでなんかいない。
「照れなくていいよ、妃芽乃ちゃん。俺たちが思いあってるってことはよくわかったから!今日から恋人同士だね」
金髪男が手に持ったチョコタルトの最後の一口を口へと運んだ。
「ヒューヒュー」
「めでたいね~!!」
周りからは面白がるような声と、下品な笑い声が聞こえてくる。
違う、何でこんなことするの、とかそれを言ってももう意味が無い。
この男たちに言っても通じないだろう。



