「あの!!そのチョコ……」
思わず声が出た。
5人の中の1人は、体育の授業が始まる前に私に話しかけてきた金髪の男。首元にはドクロのネックレスがキラリと光っている。
その金髪男が持っている紙袋は、私が朝持ってきたピンクの花柄と同じもので、男が片手でぐしゃっと丸めたの水玉の小袋。
男たちが手に持って食べ歩きしているのはハート型のチョコタルト。
それから、
“詩優へ”
とかいて貼っておいた付箋が小袋に貼ってあるのが見えた…。
これは
紛れもなく私がつくったものだ。
…なんで?……なんでこの人たちが…?
「妃芽乃ちゃんも俺のことを思っていたなんて……すごく嬉しいよ!俺のためのチョコ、たくさんありがとね!」
金髪男がそう言って、私の前でチョコタルトを頬張った。
周りの男たちも笑いながらチョコをどんどん口へと運ぶ。
「……違う…」
小さく呟いた。
そのチョコを渡してなんてない。



