ここで気づいたことがひとつ。
この男性が3年生で先輩だということ。スリッパの色が私たちと違ったんだ。
「妃芽乃ちゃん、彼氏いないんだよね?俺、立候補してもいいかな」
男性は私の手を取って、手のひらに綺麗に包装された箱をぽんっとのせた。
私は目の前の男性が言ったことを理解するのに必死で頭を回転させる。
…………立候補って、今の流れからして……
か…彼氏に、ってこと?
「……へ?」
なんでこの人が?
初めて見た人だし、きっと今初めて話したよね?私……この人の名前も知らないよ……?
考えてもわからない。
もしかしたら違う意味なのかもしれないし……
「俺と付き合お?」
男性は私との距離を詰めてきて……。
どうすればいいのかわからず固まっていたら、予鈴が校内に鳴り響いた。
私はすぐに
「ご、ごめんなさい……っ」
ぺこりと頭を下げてから渡された箱を返して、走って逃げた。全力疾走で。
それから急いで着替えて、体育館へ向かったが……
3分すぎて遅刻扱いになってしまった。



