そばには大きな木がある。

春は桜が綺麗に咲いて、

夏にかけて緑の葉が茂って、

秋には、もみじの葉が綺麗な色を見せて、

冬には雪が降ると真っ白の綺麗な雪景色になって。


1年の季節の変化を見届けられるほど、わたしは芭瑠くんとずっと一緒にいた。


『芭瑠くん、今日は桜がとっても綺麗だね!』

『そうだね。芙結は桜が好きなの?』


『うんっ、だって桜はピンク色で可愛いし、お花の形も好きだから!』

『……じゃあ、芙結にこれあげる』


そう言って、芭瑠くんのポケットから取り出され、わたしの首にかけられたもの。


『わぁぁぁ可愛いっ!』

桜をモチーフにしたガラスで作られたネックレス。
透き通るような綺麗な薄いピンク色。


このネックレスをもらったのは
ちょうど、桜が満開のわたしの誕生日だった。


その日、芭瑠くんの様子がいつもと違ったのを今でも覚えている。