「お試し期間終了だけどね。やっぱり奈生ちゃんとは上司と部下がいい気がする」


大きな手で涙を拭ってくれる優しい人


ちょっと前まで私の彼氏で…


本当に彼氏だったのかなぁ?


「奈生ちゃん可愛いから俺のモノにしちゃおうかって思ったけど…お互いに相手が違うみたい」

『…甲斐さん?』


話ながらも急かされて部屋を出る


EVホールまで来て飾り鏡に映った私


甲斐さんの触れた左耳の下


ドキッ


うっすらと…でも明らかにそれとわかるキスマーク


いまさら遅いのにパッと手で隠した


「気づいてなかった?フッ…悪い男だなぁ~アイツ」

『甲斐さん!』

「ごめんね。俺知ってたよ。奈生ちゃんと将太郎の間に何かある事」

『…じゃあ…どうして』


頭の中がゴチャゴチャでもうよくわからない


甲斐さんは何でお試しで付き合おうだなんて?


EVの中2人きりになると甲斐さんは核心をつく


「将太郎は不器用なクセにエッチ上手いだろ」

『甲斐さ!』

「昔アイツ相当遊んだからな。自信あると思うよ」


何も言えない


事実だし


「絶対余裕かましてると思ったから邪魔してみた。俺性格悪いの」