あんなに早起きしたのに会社には遅刻ギリギリ


しかもEV6台もあるくせに


何で昨日キスしたEVに乗らなきゃなんないかな


朝からついてない


いや違う


矢野将太郎が帰国してからずーっとついてないんだ


部長は朝の一杯が遅れたせいでご機嫌斜めな朝礼


すみません…私のせいです


部長の隣のアノ男は極力見ないようにして


無視しようとすればするほど意識してしまう


「奈生?どうした?」

『へっ?』


ぼんやりしてる間に朝礼終わったみたい

「そ~だ。お前まだ書いてないだろ。部内旅行の名前」


颯太が物置のようなデスクから一枚の紙をピラッと出した


もうそんな時期か


『行かない…とか無理だよね』

「当たり前だろ!ただでさえ女子少ないのに!しかもお前部長のお気に入りだし」

『ちょっと!誤解うむような言い方しないでよ』


颯太がペンと紙を差し出す


「ココ!結城奈生って早く書け!」


幹事をする颯太は強引に私にサインさせた


結城奈生のずーっと上に矢野将太郎の文字


伸び伸びしたハッキリした字


文字はわかりやすく読みやすいのに


本人は何て複雑なんでしょうね