授業が終わるチャイムが鳴った。次の授業を受ければ昼休みだ。

でも、昼休みよりも楽しみなのが次の英語の授業。僕、本間桔梗(ほんまききょう)は胸を弾ませ、現代文の教科書をしまう。

「次は天使の授業か〜」

僕が頰を緩めると、友達も「ああ。楽しみ」と頷く。男子も女子も嬉しそうに英語科教室に移動していく。すでに教室に先生が二人いた。

一人は日本人。文法などを教えてくれる男の先生だ。この先生の授業の時はクラスの大半が睡魔に襲われる。この人はスルーしよう。

もう一人は、日本人にはない金色の絹のような髪と青い瞳を持った女の先生。白のブラウスと赤いチェックのスカートがよく似合っている。

「アン先生!おはよう〜!」

女子数人が笑顔で話しかけると、アン・マーフィー先生は誰もがときめく天使のような笑顔で言った。

「オハヨウゴザイマス!」

カタコトの日本語だけど、そこが可愛らしくてたまらない。僕を含め、男子たちの頰が赤く染まっていく。