俺があげた四つ葉のクローバーのピン留め。宝物だから、一生大事にしまっておくんだって、そう言っていた。それなのに……。
もしかするとひまは、全部わかってる……?
それなのに無理に明るく振る舞って、俺の前で無理してるんじゃないか。
「晴くん、私ね……晴くんに出会えて幸せだった」
「やめろよ、いなくなるみたいな言いかた」
「うん、ごめんね。でも、感謝の気持ちを伝えておきたくて。ありがとう」
パイプ椅子に座り、ひまの手を握る。温かい、ちゃんと生きてる。この手が冷たく動かなくなる日がくるかもしれないなんて考えたくない。
そっと目を閉じ、額に当てる。動揺するようにひまの手がビクッとなった。
「晴くん、なにかあったの?」
こんなときでも、俺のこと。
細い腕で俺の頭を撫でてくれるひまを、我慢できなくてギュッと抱き寄せた。
「ひま」
「どうしたの?」
「ひま……」
「変だよ、晴くん」
「ひま……!」
「私はここにいるよ」
「死ぬな……っ」
空気がピタッと止まった。ひまがハッと息をのんだのがわかる。
「死なないよ、大丈夫だから」
俺、バカじゃねーの……。
こいつにこんなこと言わせて、なにやってんだよ。



