「おまえがきてくれてうれしいんだとよ」
「え……? ああ、うん」
福島は未だに動揺しているようだった。抱き合う女子三人を、複雑な表情で見つめている。女のほうが順応性は高いらしい。
「おまえ、だからスキンヘッドにしたのか……」
隣で歩がつぶやいた。歩の目も真っ赤に充血している。
「バカだな、おまえ」
「うっせー……」
「でも、めちゃくちゃカッコいいよ、今のおまえ。俺が知ってる中でもダントツ一番」
「んなこと、ねーよ……」
「いや、俺だったらできない。逃げ出してるかも」
「いざとなったらヘタレだもんな」
「ああ……」
いや、認めんのかよ。
「晴くんたち、そんなところに立ってないで中に入ってよ。福島くんも、天地くんも」
「ああ」
「ごめんね、ひまりちゃん。でもマジで久しぶりだね! 俺、ずっと会いたかったんだよー!」
「あはは、ごめんね」
「桃咲さん、久しぶり」
「あ、うん。福島くん、元気だった?」
「元気だよ」
全員でベッドの周りを取り囲んでの会話が始まる。何事もなく明るく振る舞うひまに、きっと全員無理して笑ってた。
聞きたいことはたくさんあるはずなのに、交わされる会話は学校のことがほとんど。
誰にも触れられない。触れたらきっと、ひまの笑顔を奪うことになる。ここにいるヤツらが無意識にそう察するほど、今のひまは弱っているようだった。



