「死んじゃ、ダメ。死なないで……お願いだから」

「わかったよ」

安心させるように頭を撫でてくれる優しい晴くん。その笑顔に胸がキュンと高鳴る。好きだっていう気持ちがあふれて、止まらない。

「晴くん、私……晴くんが好きだよ……っ」

「うん」

「心では一緒にいたいと思ってる。でもね……」

死ぬかも、しれないから。もしそうなったら、きみを苦しめることになる。悲しい顔は見たくないの。

「私の白血病……予後不良なの」

晴くんの瞳がわずかに揺れた。

「予後、不良?」

「うん、えっと……簡単に言えば治りにくいってこと」

「けど俺、白血病がどんなもんかって調べた。文献もめちゃくちゃ買い漁った。今はほとんどが治るんだよな?」

晴くんの顔から力が抜けた。不安げな瞳を向けられる。予後不良だなんて聞かされて、冷静でいられるわけないよね。

私だってそうだ。口にしてしまうと、本当にそうなりそうで怖い。だから押し黙った。晴くんはそんな私を見て察してくれたらしい。

みるみる表情が歪んで、苦しそうな顔に変わる。

「大丈夫だ、ひまは絶対に治る。俺はそう信じる」

そう言う晴くんの手がかすかに震えていた。いや、もしかしたら私の手が震えていたのかもしれない。