「晶、ダメよ。重いでしょ」
「えー! 僕、お姉ちゃんと遊びたいのに」
かわいい笑顔に張りつめた心がゆるむ。まだ幼いあきくんは私の病気のことをよくわかっていないようで、いつもと変わらない笑顔を向けてくれる。
「お兄ちゃん、だぁれ?」
「えっ、俺?」
「なんでお姉ちゃんと一緒にいるの?」
「それは……姉ちゃんのことが好きだからだ」
「ちょ、ちょっと晴くん!」
なに言ってるの。
「僕もお姉ちゃんが大好きだよ」
「お、仲間だな。よし、こい。俺が遊んでやる」
「ホント?」
「ああ」
キラキラと目を輝かせるあきくん。きゃっきゃと騒がしくあきくんは面会スペースに走って行ってしまった。
「俺、日向晴臣っていいます。ひまのことが好きなんで、よろしくお願いします!」
ちょっと、なにを言い出すのよー。
心の叫びも虚しく、晴くんはあきくんのあとを追って行ってしまった。
「ひまちゃん……今の子は?」
「さ、さぁ……」
「ふふ、あなたのことが大好きなのね」
まるで少女のようにかわいく笑う母親。
あれだけひどい言葉で罵ったのに、どうして笑えるんだろう。
私のこと、嫌いになってないの……?



