「ひま、俺……やっぱ納得できない」
「……っ」
「この一カ月、ずっとひまのこと考えてた。俺、なんも気づけなくて……ごめん」
「謝らないで、晴くんは悪くないよ」
「いや、俺が頼りないっばっかりに。ずっとそばにいるっつったのに……守れなかった」
「悪いのは私だよ」
晴くんを傷つけて遠ざけた。今も私の気持ちは変わらない。
「やっぱり俺は、おまえが好きだ」
反応するな、私の心臓。
「ひまのそばにいたい」
優しい言葉に寄りかかりたくなるけれど、晴くんの手を取ってはダメ。私といても、晴くんは幸せになれない。
「私はもう好きじゃない……だから、ごめんね」
「ウソだろ、それ。俺のことが好きだって、顔に書いてある」
「ウソじゃないよ。もう好きじゃなくなったの……」
ギリギリと胸が痛んだ。
「晴くん、もうこないで……お願い」
「ひま、ちゃんと話そう」
「話すことなんてないよ」
晴くんは返事をしなかった。ちょうど病室に着いて、中からドアが開き人が出てきた。
「お姉ちゃん!」
「あきくん……」
「ひまちゃん……」
母親の顔が見れなくてとっさにそらした。あきくんはうれしそうにピョンピョン飛び跳ねて、私の膝の上に突進してくる。



