この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。


顔を上げちゃダメ。顔を見たら……。

「ひまだろ……?」

ゆっくり近づいてくる足音。視線の先に晴くんがいつも履いてるスニーカーが映った。小刻みに拳が震えて、とうとう私は顔を上げた。

「は、るくん……」

半信半疑だった晴くんの驚いた顔がそこにあった。顔を歪ませ、傷ついたような顔で笑っている。

「やっと……会えた」

そう囁いた晴くんの目に涙が浮かんでいるように見えたのは私の気のせいかな。

「会いたかったんだ、ずっと」

そう言って車椅子に座っている私を優しく抱きしめる。人が多勢見てるのに、そんなのはお構いなしだ。

優しい腕の温もりに涙があふれた。耳元で聞こえる吐息も、頬に触れる柔らかい髪も、全部私の好きな晴くんだ。

晴くん、晴くん……晴、くん!

看護師さんはクスクス笑いながら「じゃああとは王子様に任せたから」と冗談っぽく言って、車椅子を晴くんに托してナースステーションに戻っていく。

託された晴くんは「ども」とだけ返して私の後ろに回った。

「身体は平気か?」

「うん……」

きっと晴くんは私が病気だということを知っている。じゃなきゃここへはこないし、私の変貌ぶりにさっき多少動揺していたから。

「どうして私がここにいるってわかったの?」

「姉ちゃんに聞いた。で、もしかしたらって思って」

「そっか」

訪れる沈黙がやたらと重い。晴くんが後ろにいるのがせめてもの救いだ。