次の日、今日は朝から検査だった。背中に針を刺して髄液を抜くという手技的にはそこまで難しくなくて十五分もあれば終わるけれど、精神的にとてつもない苦痛を伴う。
「力抜いて楽にしてね」
処置台の上で看護師さんが差し伸べてくれた手をギュッと握る。
「じゃあ消毒するからね」
背中に冷たい物が触れてビクッとなった。そしてついに穿刺が始まる。痛みは一瞬でも、それはとてつもない恐怖。
「うっ……」
「大丈夫、すぐに終わるからね」
目を閉じて痛みをやりすごした。思わず涙が出て、歯を食いしばる。こんなにツラい思いをしなきゃいけないなら、いっそのこと死んだほうがマシだ。
終わったときにはぐったりしていた。病棟から看護師さんが迎えにきて、車椅子で病室へ。
「あ、そういえばさっきひまりちゃんに面会の男の子がきてたよ」
「え?」
ドクンと胸が高鳴った。
「高校生かな。背が高くて、カッコよかった。彼氏?」
ドクンドクンと次第に心臓が早鐘を打ち始める。いや、でも、まさか。そんなはずはない。入院してることは、誰にも言ってないんだもん。
苑ちゃんや、学校の先生にさえ。



