次の日、初めてひまの高校を訪れた。制服で校門前に立っていると、かなり注目されているのがひしひし伝わってくる。
見てんじゃねーよ、ウザいな。ちっと舌打ちして、うつむいた。注目されるのは好きじゃない。
「日向くんだ」
「カッコいい〜!」
近くにいた女子高生がヒソヒソとなにかを話している。視線を避けるようにそいつらに背を向けた。
出てくる生徒を凝視してはひまの姿を探したけど、一時間経っても出てくる気配はない。最終下校時間まで粘ったが、会えなかった。
もう帰ったのか?
それとも俺がいるのに気づいて裏口から出た?
避けられてんのかな。いや、当然か。向こうは俺に会いたくないだろう。俺だって、会ってなにを言うかは決めてない。
でも会いたい。そんな矛盾が胸に渦まいている。
次の日もその次の日も会えることはなかった。朝のバスの時間帯をずらしても、ひまの姿は一向に見当たらない。メッセージをしても既読がつくことはなく、もしかしたら、いや、そうでなくても完全に嫌われたのかもしれない。
「あ、おい!」
「げっ!」
「げってなんだよ、失礼だな」
二学期の終業式の日、偶然校門から出てきた見知った女に声をかけた。相手は驚いた顔で俺を見つめている。



