次の日、学校を休んで半ば強引に母親に病院へと連れられた。バスと電車を乗り継いで、自宅から一時間ほどかかる大きな大学病院だ。

中は広くて開放的な造りになっている。

昔から私は消毒液がまじったような独特の匂いが苦手だった。病院にはいい思い出がひとつもない。

簡単な採血を終えて待ち合い室の椅子に座っていると、放送で名前を呼ばれた。

診察室には小学生のときからお世話になってる五十代前半の主治医の先生がいる。基本的には穏やかで優しい先生。

でもなぜか深刻な表情を浮かべている。

「採血結果なんですが」

いや、聞きたくない。なんとなく悪いことを言われるのが直感でわかった。だって先生は、いつももっと笑うから。「大丈夫だったよ」って、いつもみたいに笑って言って。

「白血球の数が異常に低下しています。血小板の数値も下がってますね」

ドクン、心臓がナイフで貫かれたかのような衝撃だった。

ウソだ、そんなの、絶対にウソ。

「そ、それは、再発ということですか?」

隣で母親のうろたえる声がした。

「それを調べるために、今日から入院して詳しい検査をしましょう」

にゅう、いん……?