「愛されてるね、ひまりちゃん。あいつ、中学のときは冷たい目をしてたけど、今は穏やかな顔してる。誰かを好きになることで人って優しくなれるから、その相手がひまりちゃんでよかったよ」

「叔父さん……」

「ひまりちゃんのためなら、なんでもできるんじゃないかな。って、大げさだけど、晴臣は小さい頃から冷めた子だったから、素直にうれしいけどね」

買い被りすぎだよ。私、そんなにいい子じゃないのに。晴くんも、私のためにそこまでしてくれるなんて……。

うれしくて、胸の奥がジーンとした。

「それと連絡しておいたから、そろそろくるんじゃないかな?」

ん?

くる?

誰が……?

「ひま!」

遠くからこっちに走ってくる人が見えた。はぁはぁと大きく肩を揺らしながら、全力疾走してたかと思うと私の前で足を止める。

「は、晴くん?」

なんで?

「叔父さんから連絡もらって、それで……はぁっ」

「やっぱり愛されてるね、ひまりちゃん。もう遅いから、送ってやれ」

ウインクしながら叔父さんは言うと、次に晴くんの顔を見て言った。

「わかってるよ、最初からそのつもりだし。つーか、ひまもここにくるなら言ってくれれば俺もきたのに」

「あ、ごめん。ここにきたのはたまたまなんだ。美奈ちゃんとの約束がなくなったから」

「ふーん……」

どことなくスネたように唇を尖らせる晴くん。

「だったら、余計に連絡してほしかった」

「ごめんね、突然だったからさ」

私たちの様子を見て叔父さんがにこやかに笑っている。

「行くぞ」

見られていることに気づいた晴くんが私の手を取って歩き出した。繋がれた手が熱い。

「晴くん、ありがとう」

「え?」

「なんだかいろいろ、私のために」

「は?」

こうしている今も強く思う。

ずっと一緒にいたいって。