『返事がないから、すっげー心配した』

『ごめんね、熱が出て』

『風邪か?』

『うん、そうかも』

『無理するなよ。この前も体調悪かったみたいだし』

『大丈夫だよ』

『…………』

急に黙った晴くんは、しばらくしてボソッとつぶやいた。

『大丈夫って、ひまはそればっかだな。ツラいときは言えよ』

強がっているつもりはないのにな。もう少し頼ったほうがいい?そのほうがかわいく見える?

美奈ちゃんの気持ちがすごくわかる。やっぱり好きな人にはかわいく見られたいよね。情けないことや、弱音は簡単には吐けない。

『ツラくないよ。晴くんの声聞いてたら、元気が出る』

『……っ』

『電話、ありがとう』

『俺の声なんかでよければ、毎日でも電話するよ』

『うん、うれしい』

『あー……くそっ』

『どうしたの?』

『……会いたい。声聞くと、余計に』

うん、私も会いたい。会って安心したい。胸の奥にくすぶるこのモヤモヤを振り払ってほしい。

『熱が下がったら、どっかに出かけよう。来月からはバイトの回数減らすから、時間取れる』

そう言われて胸が弾んだ。