ずいぶん眠ったおかげで翌日には回復し、朝早くに目が覚めた。昨日の今日であまり食欲はなかったけど、無理やり胃に流しこんで家を出た。

そんなに食べてないのに、お腹が苦しい。よくなったと思ったのに、少し歩いただけで動悸や息切れがした。やっぱりまだ疲れが抜けてないのかな。

「顔色悪いけど、大丈夫かよ」

バスの中で晴くんに怪訝な顔をされた。よっぽどなのか、深刻な表情だ。

「大丈夫だよ。最近ちょっと疲れてるから、そのせいだと思う」

「無理すんなよ。ツラいなら、誰かに席譲ってもらうか?」

「ありがとう、大丈夫だよ」

「俺につかまっていいから」

腰にグッと腕が回されて、晴くんに寄りかかる体勢になった。距離が近くて、心拍数が急激に上がる。

「お、落ち着かないよ」

「ツラいときは無理するな。俺に預けてくれていいから」

む、無理だ。余計に力が入る。でも、触れていると安心させられた。それはきっと、相手が晴くんだから。

最寄りのバス停に着くまで、ドキドキしっぱなしだった。それに少しだけ楽になった。