ウソでしょ、ありえないよ。
そうだとしか思えなくなり、顔から血の気が引いていく。たくさんの人が利用するトイレだったし、ゴミだと思われて捨てられていたりして。
ど、どうしよう……。
「どうしたんだよ、青い顔して」
「…………」
顔を覗きこまれて、とっさにそらした。
プレゼントを落としたなんて、言えるわけない。私のバカ、なにやってるの。肝心なときにいつもやらかすんだから。
「おい、なんかあったのか?」
「ううん……」
「なら、いいけど。ちゃんと言えよ?」
「うん」
どうしようってそればっかりで、素直にデートを楽しめなくなった。プレゼントが気になって集中できない。
ああ、もう。なんだか泣きそう。本当に今日の私はダメだな。自分のドジ加減に泣けてくる。
「もしかして、体調悪いとか? それなら、遠慮せず言ってくれれば」
「ぜ、全然元気だよ!」
「ウソつけ、俺の目はごまかせないぞ」
「…………」
素直に話すべきなのかな。呆れられたりしないだろうか。晴くんの誕生日なのに、情けないな、私。
「晴くん、ごめん。私、駅に忘れ物しちゃって! 取ってくるから、待っててくれるかな?」
「忘れ物? 俺も一緒に行くよ」
「ううん、大丈夫だよ」
「大丈夫じゃねーよ。方向音痴のくせに」
「うっ……!」



