シースルーのエレベーターに乗って、空高く天へと昇っていく。空と同じ高さに目線があって、景色よりも私はそっちに釘付けになった。
「わぁ、すごい」
「だな」
頂上に着くとさらにきれいな空が広がった。
「きれいな空だね、晴くん。って、景色見てないや。あはは」
「俺も景色より空を見てた」
一緒のものを見てたことにうれしくなる。
建物がなくて澄んだ空だけが目の前にあり、透き通るような濁りのない水色。
沈んでいた心が少しだけ軽くなった。
プレゼントを渡すタイミングを考えてなかったけど、今渡したほうがいいよね、絶対に。だってロマンチックだもん。
そう思ってカバンを探る。だけど……。
ん?
あれ?
な、ない。
ウソでしょ、まさかそんなこと。
だけどどれだけ探してもプレゼントの袋が見当たらない。家を出るときにはたしかに入っていたし、電車の中でも確認している。
それほど大きくはない袋だから、落とすことはないと思うんだけど。
「あ!」
駅のトイレでカバンの中身をぶちまけたことを思い出した。
まさか、そのときに落とした?



