「あはは」
愛想笑いを浮かべると、さっきよりもむくれた晴くんの顔。穏やかな時間だなぁなんて、しみじみと実感する。
「お待たせしました、フレンチトーストです」
「わぁ、美味しそう!」
「ふふ、でしょ? 僕のフレンチトーストは世界一だよ」
「すごいです、いただきます」
「どうぞどうぞ」
注文したフレンチトーストはこのお店の看板メニューのようで、とても美味しかった。晴くんの叔父さんはユニークな人で、ちょっとだけ雰囲気が晴くんに似ていた。
「今日の帰りもひまんちに寄っていい?」
帰りにコソッと耳打ちされてドキッとする。
「ごめん、夜は出て行きにくい、かも」
「あー、親になんか言われた?」
「…………」
黙っていると頭を撫でられた。
「ごめん、俺のせいで迷惑かけて。じゃあ夜会うのは控えるか。休みの日に連絡するよ」
「そんな、迷惑なんかじゃないよ。私こそごめんね」
「ん、いいよ。気をつけて帰れよ」
「うん」
手を振ると、振り返してくれた。天地くんたちも出てきて、晴くんとふざけ合っている。その声を背に自転車を走らせた。
フレンチトーストは美味しかったし、晴くんにも会えた。いい日だったなぁ。



