『今日はバイト先に遊びに行くね!』

朝、おはようのメッセージを送るとすぐに既読がついた。晴くんは基本的にすぐに返信してくれる。昨日あれだけ言われたから、なんとなく夜出て行きにくい。

ピロリンとスマホが鳴って晴くんから返事がきた。

『待ってる』

わ、やったぁ。今日も会える。うれしくて頬がゆるんだ。

リビングに行くと母親が朝食の準備をしていた。

「あら、おはよう」

「おはよう」

目が合う前に食卓につき、手を合わせて食べ始める。朝は決まっていつも食パンだ。本当はご飯のほうが腹持ちがいいから、個人的には好きなんだけど。

「ひまちゃん、今日はどこか行くの?」

私の機嫌をうかがうようなぎこちない笑顔。

「うん、図書館だよ」

「宿題しに行くの?」

「うん」

「何時頃に帰ってくる?」

図書館に行ってから、カフェに行こうと思ってる。だから完全にはウソじゃない。後ろめたさを感じる必要はないんだ。

「夕方、かな」

「気をつけてね」

「うん、ごちそうさま」

いい子を演じるのは疲れる。本当はいい子なんかじゃないのに、どうしてこんなことを続けてるんだろう。

ときどきその理由がわからなくなる。