肩で息をしながらそいつを見据えると、いつもの余裕ぶったみたいな表情がある。 こういう所も嫌いだ。 傷ついているならはっきり口に出せばいいのに。 叫べばいいのに。 そういう強がる素振りが大嫌いだ。 「言った方が楽になると思うんだけど。 ……ま、言いたくないならしょうがないし。 チャイム鳴るよ」 むかついて、どうしようもなかった。 投げるものも何もなくて、むやみに大きな足音を立ててわたしは教室に戻った。 「斉藤さん面白いなー」なんて呑気な声を後にしながら。