君がいればそれだけで。

少し苛立っているようだったけれど、何でもないんだと俺たちを退かせようとする。パルさんが王女に声を上げるなんて相当の事があったに違いない。なのに、何でもない訳無いだろう。

「王女様?・・・王女様!」

「っ!?」

「触らないで!・・・大丈夫だから」

パルさんに訊いても無駄だと思い、王女に訊こうと部屋の中を覗くと王女はその場に倒れられる途中だった。辛うじて机にしがみつき、立っていられる状態ではあるみたいだけどそういう問題じゃない。
直ぐに駆け寄ろうとしたけれど、それを拒む王女。触らないでという言葉に思わず足を止めてしまった。でも、普通ではない事は確かで。