君がいればそれだけで。

少しだけパルさんに勝てた気がした。王女の事に関して、勝てる部分なんて一つもなかったから嬉しかったんだ。でも、他の国の兵士だからなのか距離は縮まらない。もう少し、後ちょっとで良いから王女との心の距離を縮めたいなんて我が儘だろうか。

「正気ですか!?」

「どうなさいました!?」

「俺は認めませんから!」

その日の夜、パルさんの声が廊下に響き渡った。どうしたのかと王女の部屋の前に集まる兵士や召し使いたちを掻き分け、扉を叩いた。でも、俺たちに対する返答は無い。
どうしたらと悩んでいるとパルさんが勢いよく扉を開けて部屋から出てきた。