君がいればそれだけで。

調子狂うからもう少し自信を持ってくれないかな。王族ってなんかこう、もっと偉ぶっている感じだろう。なのに自分は嫌われているからって後ろ向きでさ。周りに嫌われているから何だってんだよ。ただ一人、大切な人に愛されていればそれで良いんじゃなかったのかよ。
少し苛立ちながら庭の草むしりを手伝っていると、不意に王女の手が俺の髪に触れた。千切れた草が付いていたんだ。王女の言葉に苛立っていたはずなのに、取ってくれた時の笑顔に全て吹き飛ばされた。

「申し訳ありません。ありがとうございます」

「いいえ。ラズハルドの髪って綺麗ですから、一度触れて見たかったのです」

「えっ、そ、そうですか?」