正確に言うならば、俺だけが気付いている表情の一つだろう。他の奴らなんて王女を怖いと思うだけで優しい目をして微笑んでくれても気付かないんだ。国民全員の名前を覚えているし亡くなった時は悲しんで食欲も減る。新しい命が産まれ、母子共に無事だと聞くと肩を撫で下ろして心から安心して出産祝いを贈る。そんな王女の行動さえ、他の奴らは関心がないから興味も持たないんだ。

「何か、想像と違ったな。もう少し怖いもんだと思ってた」

「えっ、怖くなかったのか?」

「庭で口開けて寝てるのが怖いってのか?お前ら面白いな!」

一通りの職務を終え、日も沈み、風呂でも入ろうかと扉に手を掛けた時だった。あの新しい四人の兵士が他の兵士と話していたんだ。