君がいればそれだけで。

「新しく見繕われたのですか?」

「残念だけど違う。あの部屋に保管しておいたの」

「左様でしたか」

あの、フィン様の負の心を癒していた部屋か。あの部屋なら数千年前の物を状態良く保存できていても納得が行く。
二人で庭に向かうと、舞踏会はもう始まっていた。終戦を祝い、平和を喜び、希望を願って舞う。王族の舞踏会とは違って型にはまった美しさのある物ではないし優雅な音楽もないけれど、今までに見た事のないくらい楽しそうな舞踏会だった。
一度にたくさんの笑顔を見たのは初めてかもしれない。舞踏会でこんなに笑える人たちがいたなんて。