君がいればそれだけで。

フィン様の次に年長であるおばあさんが部屋に入る前に話しかけてきた。どうして執着しているのかと。でも、たいした理由は本当になかった。ただフィン様のそばでフィン様が幸せだと感じられる理由になりたい。それだけだ。

「じゃあパルさん、後は宜しくお願いしますね」

「パルー、先行ってるねー」

気が済んだのか、女たちが出ていく中にリアン様と廊下で合流したクヲラもいた。フィン様はまだ中にいるのだろうか。
宜しくと言われたから頭を軽く下げたけれど、宜しくされるような事なんてあっただろうか。無事にフィン様を庭に連れてこいとか?笑える話だな。俺がいなくたってフィン様ほどの力があれば何の問題も無いだろう。
そうなんだ、俺がいた所で蟻くらいの力でしかないんだ。