君がいればそれだけで。

前までは何としてでもフィン様のお考えを優先にと思ってきたからまた懲りずに入っていただろう。でも、今はもう裏切る者もいない。苦しめる者もいない。フィン様を偏見なく愛せる者しか残っていないのだから、無理に引き剥がす事をしなくても問題ないだろう。
何かあった時のために扉を少し開け、中の声が聞こえるようそばにいる事にした。もうそばで必要以上に守る事はない。そうなれば俺がそばにいる必要も無くなるんじゃ。そうすればラズハルドとリズレイドがいれば何とでもなってしまう。俺が存在する意味すら無くなってしまうんじゃないのだろうか。

「あんたも物好きだねぇ。そんなにフィン様に執着して何がしたいんだい?」

「ただ、フィン様の笑う理由になりたい。それだけです」