君がいればそれだけで。

中を覗こうと顔を出すとフィン様を取り囲むように町の女たちが立っている。そばにはどこから持ってきたのか舞踏会に着ていたような衣装が数枚あり、幼い女とリアン様がどれが良いかと楽しそうに選んでいた。男子禁制という紙が貼り付けてあったから見逃していたが、こちらにおられたのか。

「失礼致します。フィン様がお呼びと伺ったのですが」

「パルさん!着替え終わるまで入ってきてはいけません!」

「今は栗きんとんなんだよ!」

「男子禁制ね」

フィン様は助けを求めようとしていたが女に妨げられ、俺も迫力で押し出されるように扉を閉められてしまった。