君がいればそれだけで。

上手く騙せたみたいで良かったと思ってしまったんだ。
昔はちゃんと英雄だった。親の手から救ってくれた命の恩人だし、敵に立ち向かう姿を何度も見てきた。今でもそんな彼女を格好良いと思う時がある。だから今でも英雄だと思っているから嘘ではない。

「パルはずっと、私のそばにいてくれたのね」

「それが俺の務めですから」

「皆を騙していたのはどうかと思うけど?」

王女は隠していたかったんだろう。俺が責任に押し潰されてしまわないか不安だったから。でも、ずっと一緒だったんだから分からない訳がない。それに、あの隠し部屋を知っていた。危険な目にあった時、隠れられる場所として教えてくれたんだ。