君がいればそれだけで。

かと言って他に効果のありそうな方法もないだろう。三人で頭を悩ませている時だった。天井ではなく地面が開いて落ちてしまったんだ。私はクヲラを抱き締め、ラズハルドが私を抱き締めた。そんな中、聞こえてきたのは王女の声だった。

「間に合って良かった。そっちにパルとリズレイドもいるから下がってて」

「王女様!」

暗闇の中で考えを巡らせていた私たちに昼の光が差し込んだ。クヲラの声に笑顔で反応した王女の後ろに見えたのは大きな蕾の植物。私たちはあの中にいたと言うのか。
ラズハルドが無事に着地し、安心したように駆け寄ってくるパルさんとリズレイド。上を見上げると王女はまだ、誰かと戦っていた。
赤い目に白い髪。いや、左目だけ紫か。