君がいればそれだけで。

こういう時は大抵、叫んでも体力の無駄遣い。かと言ってただ待っているのもな。

「クヲラは飛べないのか?」

「無理だよ。羽のある種族じゃないもん」

「お前、何の種族なんだよ」

「蔦植物さ」

精霊っぽい見た目をしていたからラズハルドの言う通り羽があると思っていたが違ったんだな。蔦植物は確か、体臭を猛毒に変える事が出来るんだったか。
今いる場所が本当に誰かの体内なら効果的なんだろうけれど、私たちまで巻き込まれては命が危ない。頼むわけにはいかないか。外に出てヒューがすぐに手当てできるのなら未だしも、絶対の保証は無い。酷く危険な賭けになるな。