君がいればそれだけで。

暫くの間、俺たちは王女の部屋にこもりっきりになった。悪く思ってなのかは知らないけれど、召し使いはシオラに食事だけは毎日渡してくれる。洗濯もちゃんとされているそうだが、まだ自分の目で確認はしていない。この怒りが収まるまでは誰の顔も見たくなかったんだ。

「パルさん、王女の魔力が切れる事は初めて?」

「あぁ。いつでもどこへでも駆け付けられるように気を使っていたからな」

言われてみれば、ちょっとした変化でもヒューに相談していたな。何か違和感を感じる度に訊いていた気がする。
独り善がりに見えて、結構人を頼るんだよな。例えば町に出るから同行してほしいとパルさんに頼んだり、咳が出ているだけで安静にしたり。