【大浦side】

「先生!先生!」

渡り廊下で見つけた大きな背中を追いかける。

「どうしたの?」

先生はゆっくりふりかえった。

「ううん、特に用事はないんだけど、」

先生が見えたから!って笑ったら、先生はくいっとメガネを上げて歩き出した。

「そんなことしてないで勉強しなよ」

少し笑いつつ冷たく言い放って職員室へと消えていった。

先生を好きになってもう1年が経つ。

塩崎先生は私が所属していた弓道部の副顧問で、たまに部活に顔を出してはボーッと外を眺めているような先生だった。

私も最初はいい加減な先生だな、とムカついていたけど、いざ話してみると面白くて、優しくて真面目な人なんだなと思うようになった。

それから意識し始めて、今に至るのである