そう考えると、胸がぎゅっと苦しくなった。
「もう付き合っちゃえばいいのにさ」
マキちゃんの言葉に、苦笑いを返すことしかできない。
「まさくんは私のこと、妹くらいにしか思ってないよ」
一番近くにいたから、もう痛いほどわかってる。
私はまさくんの恋愛対象にはなれないんだって。
告白することだって考えたけど......フられて気まずくなるくらいなら、幼なじみのままがいい。
妹の......ままでいいんだ。
そう思うと、諦めのような笑みが溢れた。
「あれで妹、ねぇ......」
「鈍感にもほどがあるわよね」
こそこそとなにか言っているふたりの言葉は、私の耳に届くことはなかった。
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「今日は基礎のカップケーキを作ります」
放課後の調理実習室。
私たちの高校では、部活動の参加が推奨されていて、お菓子作りが好きな私は家庭科部に入った。
ちなみに、マキちゃんと響子ちゃんも同じ。

