1日だけ、キミの彼女。

「えーと、今日は教科書の24ページからだな」


教卓の前で古文の西田先生が教科書を片手に持ちながら黒板に板書をする。


いつものように黙ってそれをノートに写していく私。


するとその時、横からトントンと机をたたかれた。


振り向くと、隣の席の加賀見くんが何やら困ったような顔をしている。どうしたんだろう。


「ごめん。あのさ、教科書忘れたんだけど、見せてもらってもいい?」


まさか、加賀見くんに話しかけられるとは思ってもみなかったので、ドキッとしてしまった。


「い、いいよっ。もちろん」


私が緊張しながら頷くと、加賀見くんが机をくっつけてくる。


いつもより距離が近くなって、わけもなく心拍数が上がってしまう。


「あの、ど、どうぞ」


教科書をできるだけ加賀見くんが見やすいように端に寄せる。


そしたら彼は、「サンキュ」と微笑みながら一言お礼を言ってくれて。


その表情があまりにもまぶしくて、またドキッと心臓が跳ねた。