きっと私の指先の感覚がおかしいのだ。 そう自分に言い聞かせさっきよりも 冷静になり、今度は母の両手を 私の両掌で包み込むように優しく触れる。 どんな時も私の両手を包み込んでくれた あの温もりと柔らかさはもう消えていた。 冷静になろうが、両手で強くさすろうが 母の両手の体温が再び蘇る事はなかった。 それでも私は諦めずに温め続けた。 ただ、私の両手の体温がじわじわと 奪われていくだけだった。