でも、もう戻れない。
もうすぐこの子は産まれてくる。
私はこの子を愛することができる?
私から離れることを許せる?
遠くで幸せになることを、
心から願うことができる?
私にはできない。
ああ、また夜が来た。
今夜も夢の中で、あの男が私を
殺しにやって来る。
私を刺しながら、俺は万咲都だと
何度も叫ぶ。
あの声が、耳にこびりついて
ずっと離れない。
何度耳を擦っても、洗って拭いても、
耳を塞いでも纏わりついてくる。
私のお腹の中にも、あの男の一部がいる。
気持ち悪い。
あの男といなくなってしまえばいいのに。
