どうして母は、私に嘘をついたのだろう? 母を信じたい気持ちもあった。 でも、高岡さんが嘘をついて いるように思えなかった。 居室へ戻り、床に座り しばらくの間考え込んでいた。 窓から微かに差し込む夕日が、 目の前の床に置かれた 母の日記帳を照らしている。 日記帳を手に取り、躊躇いがちに 表紙をそっと開いた。 1ページ目には、何も書かれていなかった。 日記帳は、ページをめくっただけでも 破れてしまいそうなくらい 状態が悪かった。