彼は、春乃が好きだから 私に一度も好きだと言わなかった。 照れ屋でも、口下手でもない。 あの憎たらしい男と同じ血が流れる、 善人の皮を被った最低な男なのだ。 目の前に広がった絶望の隙間から、 二人が並んで歩く姿が見えた。