目の前を車がゆっくりと通り過ぎて いった。 彼の名前を最後まで呼ぶことはできず、 挙げた右手から、全身へと次第に 力が抜けてゆく。 春乃だった。 私と彼が付き合っていることは 知っている。 春乃はとても喜んでいた。 彼とは、全く接点がないと話していた。 全て嘘だったのか。 私に隠れて、何度も会っていたのだろうか。