目まぐるしく変わる自分の感情に
振り回され疲れた頭を、
休憩させようと窓の外に目を向ける。
渋滞を抜けたタクシーは、いつのまにか
私の住む街を出て、遠い都会の街を
走っていた。
もう23時を過ぎているというのに、
街は昼間のように明るい。
仕事帰りに呑みに行ったであろう
酔っ払って肩を組み歩くサラリーマン。
クラブにでもいくのだろうか、
露出の激しい派手な格好をした
若い女の子たち。
横断歩道を手を叩き、大爆笑しながら
渡っている。
彼女達が横断歩道を渡り終える姿を
目で追っていると、ひときわ目立つ
白い大きなビルの大型ビジョンが
目に入った。
原稿を読むアナウンサーの下には、
"モスキート 不適切発言で謝罪"
というテロップが出ていた。
このニュースに街にいたほとんどの
若者が足を止め、見入っていた。
モスキートは、彼の会社が
スポンサー契約していたはずだ。
約束に遅れた際に言っていた急に
入った業務というのは、
きっとこのニュースが原因だろう。
そんな忙しく大変な中、私の誕生日を
祝ってくれたことに優しさと申し訳なさを
感じた。
ニュースが終わり、立ち止まっていた
若者達がひとり、またひとりと
歩き始める。
熱狂的なファンなのだろうか、
その場から動けず腰を抜かして
泣く若者もちらほらいた。
身近な存在すら泣いておかしくなって
しまう程、好きになったことがない
私からすると、遠い存在にそこまでの
感情を抱ける事が不思議でたまらなかった。
