「いらっしゃいませ」
白いシャツに黒のベストを着て
蝶ネクタイを結んだとても上品な
男性店員が出迎えてくれた。
とても温かく曇りのない笑顔で
これが心からの笑顔ではなく
仕事上の笑顔なのだと…
そう思うと怖くも感じた。
「予約している藤堂です」
「藤堂様ですね。
ご案内致します」
店員は一礼するとレストランの
奥へと歩き始め、その後に
御曹司、私が続いた。
間違いなく彼は株式会社TOHDOの
跡取り息子、藤堂万咲だ。
そもそも住む世界が違うため、
復讐はおろか普通に出会う事さえ
不可能だと思っていた。
2年前の私に藤堂の息子と食事
するなんて話したらきっと
信じられないと言うだろう。
