23時41分6秒




「……馴れ馴れしくすみません。

 名前を尋ねるのを忘れていて、
 帰り際に接客中の貴女を見たら
 ネームをつけていたから…
 本当によかった」


彼の言葉を聞いてホッと胸を
撫で下ろした。

話してる間、名前を尋ねるのも忘れ
ネームにも気づかず、
私との会話に集中していたのだと
思うと少し可笑しかった。


「じゃあ、行きましょうか」


「はい」


彼はレストランのドアの取手に手をかけ
ゆっくりと引いた。

さっき会った時と同じ装いの
シャツの裾から高そうな腕時計が
一瞬だけ見えた。


「どうぞ」


「ありがとうございます」


彼に促されて先に中に入った。