御曹司との待ち合わせ場所は、
商店街の外れにある
高級なカフェや料理店が並ぶ
通りでも有名なレストランだった。
小さい頃、大人になったら
絶対行きたいと決めていた
憧れの高級なお店の通りなので
少し緊張と嬉しさもある。
かなり急いで来たけれど
意外とまだ時間に余裕があった。
安心して、少し歩みをゆっくりと
進めていると、レストランの前に
人影が見えた。
その人影がゆっくりと私の方を向く。
「阿部さん!」
驚いて思わず立ち止まってしまった。
どうして私の名前を知っているのだろう?
もしかして私の目的を彼は既に
知っていて、先手を打って来たのか?
これは罠なのだろうか…
そんな思いが頭を駆け巡り
心臓が大きくトクンと跳ねたのを
皮切りに鼓動が早くなってゆく。
