23時41分6秒




御曹司との待ち合わせ場所は、
商店街の外れにある
高級なカフェや料理店が並ぶ
通りでも有名なレストランだった。

小さい頃、大人になったら
絶対行きたいと決めていた
憧れの高級なお店の通りなので
少し緊張と嬉しさもある。

かなり急いで来たけれど
意外とまだ時間に余裕があった。

安心して、少し歩みをゆっくりと
進めていると、レストランの前に
人影が見えた。

その人影がゆっくりと私の方を向く。  


「阿部さん!」


驚いて思わず立ち止まってしまった。

どうして私の名前を知っているのだろう?

もしかして私の目的を彼は既に
知っていて、先手を打って来たのか?

これは罠なのだろうか…

そんな思いが頭を駆け巡り
心臓が大きくトクンと跳ねたのを
皮切りに鼓動が早くなってゆく。