「阿部さん!大丈夫ですか?」
心配した高岡さんが持って来た
ティッシュで血を拭き取り
絆創膏を貼ってくれた。
「小さな浅い傷でよかったです。
マリーが怒るなんて珍しいなあ」
私も初めてのことだった。
今まで私を見ると嫌そうな表情は
していたけれど、威嚇されたり
引っ掻かれたりすることはなかった。
今日はマリーにとって虫の居所が
悪かったのだろうか。
「マリー、ごめんね」
そう言ってドアを開けると
マリーは一度も振り返らずに
夜の町へと消えていった。
「お先に失礼します。
お疲れ様でした」
「お疲れ様でした。
指の傷、お大事に」
高岡さんは少し心配そうな表情で
見送ってくれた。
