23時41分6秒




「阿部さん!大丈夫ですか?」


心配した高岡さんが持って来た
ティッシュで血を拭き取り
絆創膏を貼ってくれた。


「小さな浅い傷でよかったです。
 マリーが怒るなんて珍しいなあ」


私も初めてのことだった。

今まで私を見ると嫌そうな表情は
していたけれど、威嚇されたり
引っ掻かれたりすることはなかった。

今日はマリーにとって虫の居所が
悪かったのだろうか。


「マリー、ごめんね」


そう言ってドアを開けると
マリーは一度も振り返らずに
夜の町へと消えていった。


「お先に失礼します。
 お疲れ様でした」


「お疲れ様でした。
 指の傷、お大事に」


高岡さんは少し心配そうな表情で
見送ってくれた。